Modified Duke's Criteriaの変更提案

2000年に変更されたModified Duke's Criteriaが23 年ぶりに変更が提案されています。

あくまでまだ「提案」ですが。

 

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 

日本循環器学会の発行している「感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2017年改訂版)」をベースに改定された場所を見ていきたいと思います。

 

まずは判定から。

病理学的確定診断の検査方法・検査検体の適応拡大が提案されています

バイスやグラフトなどの検体でも可能になり、PCRやシークエンス解析での微生物の検出でも病理学的確定診断とします。

また、同検体からの活動性IE所見がある場合にも病理学的確定診断とすることを提案されています。

 

「否定的」の基準の一つに「IE症状が4日以内の抗菌薬投与により消退」というものがありましたが、「抗菌薬治療が4日未満にも関わらず再発しない」に変更が提案されています。

 

 

次に大基準の変更点についてです。

・微生物の大基準

IEに典型的な菌が追加されました。

今までは
・Streptococcus viridans
・Streptococcus bovis
・HACEKグループ
・Staphylococcus aureus
・他に感染巣がない状況での市中感染型Enterococcus
のみが典型的な菌とされていました。

今回からは
・Staphylococcus aureus
・Staphylococcus lugdunensis
・Enterococcus faecalis
・Streptococcus peumoniaeとStreptococcus pyogenesをのぞくすべての連鎖球菌
・Granulicatella
・Abiotrophia spp.
・Gemella spp.
・HACEK
を典型的な菌とすることが提案されています

また、心臓内人工物の存在下でのみ典型的な菌として
・コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CNS)
・Corynebacterium striatum, Corynebacterium jeikeium
・Serratia marcescens
・Pseudomonas aeruginosa
・Cutibacterium acnes
・non-tuberculous mycobacteria (特に Mycobacterium chimaerae)
・Candida spp.
が提案されています

 

IEを時々または稀に引き起こす菌については今までは時間を空けて陽性になる必要がありましたが、今回の改定では3セット以上の血液培養で陽性になることが提案されています。具体的な菌名については言及されていませんでした。

 

培養以外の微生物検査についても大基準への追加を提案されています

Coxiella brunetii 、Bartonella属、Tropheryma whippleiについては血液のPCRやアンプリコンシークエンス・メタゲノムシークエンスが陽性となることでも大基準をみたすことを提案されています。

現在のDuke criteriaでは抗体の検出はCoxiella Brunetiiのみでしたが新たにBartonella の2種についても追加が提案されています。

 

・画像の大基準

画像所見については心エコーでIEの所見があることとなっていましたが、新たに心臓CTでIEの所見がある場合にも大基準に追加することを提案されています。

 

また、新たにFDG-PET/CTで弁や人工物に集積があることも画像の大基準への追加を提案されています。

 

・手術の大基準

新しい大基準として手術の大基準を追加することが検討されています。

画像検査・組織検査・微生物検査が使用できない場合に術中の直接観察によるIEの所見での大基準への追加を提案されています。

 

続いて小基準の変更点についてです。

素因となる心疾患にIEの既往歴と血管内植込み型心臓内デバイスの追加を検討されています。

 

 

微生物学的所見も従来の基準に加えて新しく項目を追加することが検討されています。

 

小基準に新たに画像所見と弁逆流所見を追加することが検討されています。

画像所見については異物留置から3ヶ月以内のFDG PET/CTで異常集積があれば陽性。

弁逆流の所見については心エコーが利用できない場合のみ新規逆流性弁雑音があれば陽性。

とすることが提案されています。


あくまで現時点では提案です。

これからさらなる検証が必要とされています。

 

 

 

あまり英語得意な方ではないので間違っている箇所も多いかと思います、、、ご承知ください。。。